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縦割りのコミュニケーションを打破する|部門間の壁を越え、円滑な連携を実現するためのヒント

会議

概要

組織が成長するにつれて、部門間の壁が厚くなり、コミュニケーションや情報共有が限定的になることで、さまざまな弊害も出てきます。

「所属部門や自分だけの利益を追求するようになる」
「視野が狭まり、アイデアの "引き出し" が狭まる」
「全体最適の視点が欠如する」
「隣の人が何をやっているかわからず、コミュニケーションの機会がどんどん減っていく」

組織の縦割りは、メリットもありますが、デメリットも多く、放置すると改善が難しくなり、さまざまな面に根深い影響を及ぼします。
本記事では、この問題を解決するための具体的なヒントを、最後に筆者の体験も交えてご紹介します。

部門間の壁はなぜ生まれてしまうのか?

部門間の壁は、なぜ生まれてしまうのでしょうか。その原因はさまざまですが、主なものとして以下の点が挙げられます。

評価制度の違い

各部門の目標や評価基準が異なると、他の部門の仕事への理解が深まらず、利他主義より利己主義が優位に働きがちです。

過去の成功体験への固執

過去の成功体験にとらわれ、新しいアイデアや意見を受け入れにくい風土が生まれます。失敗を恐れ、実績のあることだけに固執してしまいます。

情報共有の不足

各部門が独自の情報を持ち、その活用範囲が狭くなることで、情報資産の価値が下がり、全体最適な判断が難しくなります。

コミュニケーション不足

定期的なコミュニケーションの機会が不足し、お互いの仕事への理解が浅いまま、ビジネス拡大の機会損失になる場合があります。

部門間の壁を打破するために必要な「意識」

部門間の壁を打破するためには、従来の考え方にとらわれない「意識」を持つことが重要です。

部門間の「共通目標」で「協力意識」を生み出す

共通の目標を設定し、全員が共通の目標を持つことで、部門間の協力意識が自然と生まれます。

無意識に敬遠しがちな「多様性」を意識的に受け入れる

異なる意見や考え方を尊重し、オープンなコミュニケーションを促進します。

「失敗から学ぶ」文化で「心理的安全性」を高める

失敗を恐れず挑戦したり、新しい取り組みを奨励し、失敗から学ぶことを日常化することで、心理的安全性を高めます。

相手の貢献を「わかりやすく認める」

相手の貢献を「〇〇で助かった」「新しい発見になった」など具体的に認め、感謝の気持ちを伝えることで、周りの士気も高めます。

リーダーがロールモデルとなる

リーダーに縦割りの壁を打破するための権限を移譲したり、ミッションを課し、率先して部門間の連携を促します。

具体的な施策例

短期共同プロジェクト「ハッカソン」「アイデアソン」※

ハッカソン、アイデアソンで盛り上がる社内

短期間でアイデアを形にすることで、共同作業を促進しイノベーションをもたらします。
ただ単に「もっと協業しましょう」と言っても誰も動きません。目標や目的があることで、共同作業や連携の重要性に意義を持たせ、相互理解やビジネスを加速するイノベーションにつながります。これは、決してIT業界やエンジニアだけのものではありません。

※ハッカソンとは

「ハック(Hack)」と「マラソン(Marathon)」を合わせた造語です。
エンジニアやデザイナーなど職種を横断したチームを組み、与えられたテーマに対して、定められた期間に集中的にサービスを開発し、アイデアの斬新さや技術の優秀さなどを競い合うイベントなどがあります。
組織を横断したチームを組み、一つのテーマに対して、何かを積み上げたり結果を出していく取り組みで、優れたオープンイノベーション手法です。

※アイデアソンとは

「アイデア(Idea)」と「マラソン(Marathon)」を合わせた造語です。
さまざまな企業、部門、職種の人が集まり、特定のテーマに沿った活動を行い、新たな企画やビジネスモデルといった「アイデア」を競います。 アイデアソンは開発が伴わないため、幅広い層が横断的に参加しやすい仕組みになっています。

ジョブローテーションとメンター制度

大企業では独自のキャリアパスや評価制に組み込まれているケースも多いと思いますが、企業規模に関わらず行っているケースも少なくありません。
異なる部門を経験することで、圧倒的に組織全体への理解が深まります。その際、経験豊富な人や知見がある人がメンター役になることも重要です。孤立を防ぎ、効率的に業務やミッションを理解することができます。
業務に関するフォローだけでなく、人間関係やキャリアなど、幅広くサポートすることもあるため、不安や悩みを相談したり、精神的なサポートにもつながります。

週次で部門紹介をローテーションする

他部門に向けて、定期的に稼働中のプロジェクト、日常業務、成功事例、業務効率化、課題などについて発表します。5分程度で十分です。部門内で発表者もローテーションすることで、部門内での理解やコミュニケーションも活性化します。

社内SNS、ナレッジツールの活用

ナレッジ共有ツール、ビジネスチャットツール
ナレッジ共有ツール、ビジネスチャットツール

気軽にコミュニケーションが取れたり、使っているだけで他部門の情報が流れてくるような、横断的な情報共有ができる場を提供します。ビジネスチャットや社内ポータルツールを導入している企業もかなり増えましたが、直接話しにくくても、文字なら共有しやすいという人も多いのではないでしょうか。
また、ナレッジツールなどを使う場合は、「ノウフー(Know Who)※」をルールにすることで、人となりや得意領域が分かり、自発的なコミュニケーションが活発になります。

※Know Whoとは
企業の中で、「誰が何を知っているのか」「エキスパートは誰か」といった強みや経験のある人とそれを必要とする人をマッチングする仕組みです。
自己紹介とは違い、スキルや得意に深堀りした情報を、ナレッジツールなどに公開し、検索することができるようにすることで、メンバーが自ら相談相手や依頼先を見つけ、協業が広がります。また、自身のスキルが思わぬ価値があることに気付くこともできます。

実際にどのような内容なのか、どのように運用するのか、Kibelaの画面でご案内可能ですので、ご興味がありましたら気軽にお知らせください。

筆者の経験より

もはや新人だけではない、メンター制度

メンター

中途入社で、最初の3か月間メンターがつきましたが、孤立することもなく、相談相手も明確になり、短い時間で効率的に理解をすることに役立ちました。 翌年は、自身がメンターになり、フォローする側になることで、より一層所属する部門を客観視することができ、改善点を見つけて修正したり、仕組化したり、とても有意義な時間でした。

2か月で10人!ランチキャンペーン

ランチ

2か月間で、自分の部門以外の人と10人以上ランチをする、というキャンペーンでした。
正直なところ、「すごくめんどくさい!」と思いましたが、2か月後、「本当にやってよかった!」という結果になりました。

当時、巨大な社食がありましたが、そこに行けば誰かつかまるのでは?という考えは甘く、人が多すぎて社食で探すのはかなり非効率だったため、まるで営業マンのようにひたすら事前のアポ取りです。スケジュールが5分と空いていない人も多く、かなり大変でした。
また、せっかくランチをするならコネクションを広げたいと、目的をもって相手を厳選しながらアポを取り、接触したい人とは全てランチをすることができ、業務につなげることもできました。

人間が食事をすると、副交感神経が活発になり、本人の意思に関わらず、人となりが出るため、1時間で多くの有益な情報が入ってきます。そのため、「おや?」という人もいれば、「知らなかった、すごい」という人もいて、私にとってはとても楽しい時間でした。(一緒にブッフェにいくと、もっと多くの情報が入ってきておもしろいですね)

今も語り継がれる、プレゼン祭り

これは私が40人程のチームを管理していた頃に自身で企画したものですが、5分間好きな内容についてプレゼンする、というもので、最初の頃は割と前のめりのメンバーにお願いし、そのうち自ら発表したい、語りたいメンバーが増えていき、最終的には日次で全メンバーをローテーションするまでに発展しました。

内容は、日常の買物や、譲れないポリシー、旅行、推し活、新しい事業アイデアなどさまざまです。
盛り上がる発表、よい発表をすることが意図ではなく、人となりを理解し、多様性を認め、風通しをよくすることが目的でしたので、スタイルや内容は問わず、制限があるのは5分という時間だけでした。

半年ほどすると、5分間で言いたいことをわかりやすくまとめたり、プレゼン資料を作ったりと、様々なスキルがアップデートされ、習慣化の醍醐味を体感しました。
今でも転職先の企業で実施しているメンバーもおり、少しは(いえだいぶ)役立ったのではないでしょうか。

まとめ

改革は、時には「痛みを伴う」こともあり、また「遊び心」から発展することもあります。
人生に無駄な時間など何一つないと思いますので、この改革こそ、失敗を恐れず挑戦し、失敗から学ぶ機会でもあります。「言うは易く行うは難し」と思うかもしれませんが、少しずつでも取り組んでみてはいかがでしょうか。

この件について、皆さんのエピソードなどありましたら、是非教えてください!